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2025.07.31

宿泊業界の未来を創る「補助金活用によるDX化」

1.宿泊業界におけるDX推進の背景

2023年3月に観光庁の『観光DX推進のあり方に関する検討会』がまとめた報告書(*1)によりますと、観光産業、とりわけ宿泊業界の課題と解決の方向性として、次のようにまとめています。

宿泊業界の課題としては大別して3つの課題があり、①生産性の低い経営・業務に関する課題、②投資に関する課題、③労働環境・待遇に関する課題を挙げ、この3つの課題を解決する為に、デジタルトランスフォーメーション(以下、DX(*2))の推進が必要不可欠であるとしています。

しかしながら、現実的には限られた資金力や人材の中でDX化を進めるには、高いハードルがあるのも事実であり、ホテル・旅館専門の経営コンサルティング会社である弊社においても、前述3つの課題のうち「②」について、「DXに投資したいものの、投資余力がなく資金的に厳しい」という相談を何度も受けてきました。

そこで、このような資金的な負担を減らしつつDX推進を図るための1つの方法が、国や地方自治体が提供する補助金制度の活用となります。

以下では、宿泊業界で導入されているデジタルツールとDX化のメリット、DX推進で活用できる主な補助金、最後にDX化を推進していく上での問題点について解説していきます。

2.宿泊施設で導入されているデジタルツールとDX化のメリット

2023年、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公表した「DX白書」によりますと、宿泊業におけるDXの取り組み状況は、20%未満という結果であり、他の業界と比較して遅れていることが示されています。

このような中で、現状、宿泊業界では、どのようなデジタルツールが導入されているのでしょうか。以下は、主に導入されているデジタルツールとなります。

これらのデジタルツール導入によるDX化の取り組みは、単なる経営資源の見える化や業務効率の向上のみならず、宿泊者の宿泊体験そのものの質を高め、口コミ評価やリピーターの獲得といった顧客満足度の向上につながる重要な施策となり、これまでの経験や勘に頼っていた経営から、データに基づいた経営戦略の策定という、ビジネスモデルの変革にもつながるメリットがあります。

一方で、2024年10月2日付の弊社コラムでも述べているように、DX化を推進していく上で、まずは「自社の経営課題の明確化」を行い、その課題解決の為に、どのようなデジタルツールを導入するかを検討していくことが重要となります。

3.宿泊業界のDX化で活用できる主な補助金
現在、宿泊業界のDX化で活用できる補助金としては、以下のようなものがあります。(ここでは一部助成金も含めています)

補助金を活用するためには、補助金申請のタイミング、申請要件や対象となる経費の把握、補助金によっては事業計画書が重要となります。

特にDX化は「ただデジタルツールを導入すればよい」というものではなく、どのような経営課題を解決するための施策かを明確化した上で、事業全体やビジネスモデルとの整合性を検討する必要があります。

そのため専門家の支援を受けながら計画を立てることで、より効果的な補助金の活用が可能となります。

4.補助金活用によるDX推進の問題点

ここまで宿泊業界のデジタツールによるDX化と、活用できる補助金について見てきましたが、実際に補助金活用によるDX化を検討していきますと、様々なお困りごとがでてくるケースが見受けられます。

例えば、

◆「そもそも自社の経営課題を解決するために、どのようなデジタルツールの導入を検討すべきか分からない。」

◆「DX化していく必要性は分かるけど、例えば、ホテル管理システム(PMS)であれば、どのベンダーのシステムを導入すべきか、どのシステムが自社に合っているのか、ベンダーの数が多くて悩んでいる。」

◆「DX化していくのに、各デジタルツールの費用感が分からなく、調べる時間的余裕もあまりない。」

◆「どの補助金を活用したら良いのか、補助金の種類が多くて困っている。」

◆「補助金というと、申請書類が膨大にありませんか?」

このように、いざDX化を進めようとしても、デジタルツールの選定や、どの補助金を活用するかなど、いくつもの問題が出てくることがあります。

ホテル・旅館専門の経営コンサルティング会社である弊社は、これまでの成功体験や知見を活かしつつ、宿泊事業者様の経営課題を客観的に明らかにした上で、例えば、ホテル管理システム(PMS)の導入の場合、宿泊事業者様の規模やビジネスモデルに合ったベンダー様のご提案や、補助金活用のご提案を行うことが可能となります。

今後のホテルや旅館の生き残りには、DX化によって競争力を強化していくことが不可欠です。補助金という制度を上手に活用することで、限られた資金でもDX化を推進し、未来を創っていくことができます。「うちのような小規模施設には、DXの取り組みは難しいかな」などと思われた場合には、まずは弊社へのご相談から一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。お気軽にお問い合わせください。

※注釈

*1:国土交通省 観光庁「観光DX推進のあり方に関する検討会」の「観光DX推進による観光地の再生と高度化に向けて (最終取りまとめ)」報告書

https://www.mlit.go.jp/kankocho/seisaku_seido/kihonkeikaku/jizoku_kankochi/kanko-dx/kentokai.html

*2:デジタル化とは、「紙やアナログで行っていた作業を、デジタル技術で置き換えること」、デジタルトランスフォーメーション(DX)化とは、「データやデジタル技術を活用して、業務・サービス・組織全体・ビジネスモデルを変革し、競争力を高めること」と言われています。