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2026.03.25

インバウンド及び日本人の観光・旅行動向

世界情勢の不確実性が高まる中、平和産業である観光業は今後どのような推移をしていくのでしょうか。国内市場は需要の回復が進む一方で、市場構造や旅行者のニーズにも変化が見られます。

最新のデータを基に、国内旅行の最新動向と旅行・宿泊業界のトレンドをご紹介します。

1.長引く中国の訪日自粛 拡大する東南アジア市場

日本政府観光局(JNTO)の「訪日外客統計」によると、2025年の訪日外客数は前年比15.8%増の4,268万3,600人で過去最高となりました。国籍・地域別では、韓国(22.2%)、中国(21.3%)、台湾(15.8%)の東アジア諸国・地域が半数以上を占めています。しかしながら、2025年11月に中国政府より日本への渡航自粛の呼びかけが行われ、中国からの訪日客数は直近では大きく減少傾向となりました。昨年12月時点では予約状況に影響は小さいと見られましたが、蓋を開けてみれば、2026年1月及び2月の訪日客数は約半減と大きな爪痕を残しており、影響の長期化が懸念されます。

一方で、今後需要の拡大が期待されるエリアとして東南アジアがあります。タイ・シンガポール・マレーシア・インドネシア・フィリピン・ベトナムの東南アジア6か国の合計訪日外客数は、2025年12月以降中国を上回る推移となっています。2026年2月の速報値では、東南アジア6か国は訪日外客数全体の約12%を占めており、今後さらに存在感を強めていくと考えられます。

2.インバウンド消費額は過去最高を更新、宿泊費が最大の支出項目に

観光庁の「2025年インバウンド消費動向調査」によると、訪日外国人の旅行消費額は前年比16.4%増の9兆4,559億円に達し、過去最高を記録しました。国籍・地域別では、中国(21.2%)、台湾(12.8%)、米国(11.9%)、韓国(10.4%)の上位4か国・地域が全体の半数を占め、消費を牽引しています。費目別の構成比に注目すると、宿泊費が36.6%と最も大きな割合を占め、次いで買物代(27.0%)、飲食費(21.9%)となりました。前年と比較すると、宿泊費と飲食費の構成比が増加しています。

訪日外国人1人当たりの旅行支出は22万9千円となっており、特にドイツ、英国、オーストラリアからの旅行客は39万円前後と高い水準を示しています。訪日外国人1人当たりの宿泊費単価は8万4千円にのぼり、前年から7千円の大きな増加となっております。このような傾向の中で、宿泊施設はより高い付加価値を求められると考えられます。

3.インバウンド好調の一方、日本人の宿泊者数は回復が待たれる

観光庁の「旅行・観光消費動向調査」によると、2025年の日本人国内旅行消費額は約26兆7,746億円に達し、過去最高を記録しました。その内宿泊旅行が21兆7,153億円と消費を牽引しました。

日本人延べ旅行者数は5億5,366万人となりました。訪日外客数が前年比+15.8%であったのに対し、日本人は+2.5%とやや伸び悩んでいます。また、日本人延べ宿泊者数は4億7,561万人となり、2年連続の減少となりました。インバウンド需要に後押しされ日本人の国内旅行単価が48,358円と過去最高値を更新する中で、家計における旅行支出は2023年以降ほぼ横ばいとなっており、結果的に消費傾向の鈍化に繋がっていると考えられます。特に地方においては、依然として日本人が宿泊需要の基盤となっているため、新たな需要創出や訪日外客の地域分散が課題となりそうです。

4.旅行トレンド

特にインバウンド市場においては、旅行者の消費行動にも変化が見られます。消費額の変化からも見られるように、従来の買い物中心のいわゆる「モノ消費」から、日本ならではの文化や体験を重視する「コト消費」へとシフトしており、地域の特色を活かした体験型コンテンツへの関心が高まっています。こうした背景から、単なる宿泊だけでなく、滞在そのものに価値を見出す旅行スタイルが主流となりつつあります。

また、訪問地にも変化が見られます。世界で訪れるべき旅行先として、米メディア「ナショナルジオグラフィック」では山形が、米紙「ニューヨーク・タイムズ」にでは長崎や沖縄が選ばれるなど、これまで東京・大阪・京都といった都市部に集中していた需要は、地方へと広がりを見せています。混雑を避けたいというニーズや、より深い日本体験を求める傾向により、地方の観光地や宿泊施設への関心が高まっていると考えられます。この流れは地域経済の活性化につながる一方で、受入体制の整備や人材確保といった新たな課題にも直面しています。

当社では、経営改善コンサルティングをはじめ、マーケティング支援、運営・開発支援、宿泊施設専門の求人事業など、宿泊施設様の課題に寄り添った幅広い支援を行っています。

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